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新見藍

AIR プログラムを終了して
新見 藍

今回私は陶芸のAIR 作家として招いて頂いのに、あまりにも勉強不足だったため、様々なものが真新しく感じられ、今まで自分 の知らなかった「陶芸」の世界を見せてもらいました。まだほん の先端も見えず、技法や知識、陶芸ならではの良さが本当に分かったとは言えません。その場に行き、そこでできる事を見つけ、自分自身で探し出せたとも思っておりません。場にしても人間関係 においても、交渉にしても、何一つまともに出来なかったと悔やみ、反省の念でいっぱいです。
ですがいつもと違う場所、環境で作るのに抵抗と有り難みを覚え、 年齢の近い工房スタッフさんたちにたくさんの影響を与えてもらいました。陶芸に関しても、いい意味でも悪い意味でも見方が変 わりました。自分で材料を選び、触った事のないような土、釉薬の色に魅了され、それを自分の作品に反映させる事がなかなかできず、はがゆく、扱いきれない焼き物の難しさを感じ、学びまし た。制作においては、自分の作品が悲鳴を上げているのではないかと思うほどに不安がありました。その不安が今回のAIRの最大のキーワードでした。
あらゆる場合においていつも不安と隣合わせで、普段死んでしまっている感覚が、現実という人間的な本当の不安に呼び覚まされた気がしていて、滞在して制作するというのは、本当はそこにあったのだと今実感しています。そんな私の事情、態度、回りの皆さんもとても戸惑っていらっしゃったと思いますが、過ごしていく内に、受け入れられ、また私も少しずつ皆さんを受け入れられたかと思います。理解と和解は別にあり、それぞれが一つの世界を持っていて、そこを通して色々なものを見ていると痛感しました。
これらの思いは、ひとえに、二期リゾートの持っている独特の自然の力、そこに配置され、アイデンティティをくれる家具や建物、料理の総合芸術のおかげです。そしてそこに人という一番大切な 核がある中で感じられました。

同時滞在の大橋春香さんとの交流は特別なものでした。作家としても人間的にも正反対のようで、とても近しい存在のような彼女との出会いや交流は、言葉では言い表せられないほどに特別でした。こうした同時滞在も、非常に重要な経験でした。完成した作品が、色々あった出来事のどれか一つでも語っていてくれていたら幸いです。
様々な経験と出会いを下さり、本当にありがとうございました。

 


2009 文化学院専門課程美術科卒業/グループ展(東京銀座・アーティストスペース) 新見藍・新見隆二人展「人形たちの庭」(東京青山・GEM ART)
2010 グループ展(東京銀座・アーティストスペース)/新見藍・新見隆二人展「人形たちの庭Ⅱ」(東京青山・GEM ART)
2011 個展「闇の輝き」(東京国分寺・魚しげ別邸)/企画展「手で見る2011」(東京渋谷・ギャラリーTOM)