ガラス作家・尾形かなみプログラム
AIR ディレクター 富田勝彦
アート・ビオトープ那須での「アーティスト・イン・レジデンス公募プログラム」。三人目の作家は、前年度滞在の伊藤氏と交遊のある宮城出身のガラス作家・尾形かなみ女史である。今年は小豆島を含め、昨年度の作家の知人で実施されることになった。募集開始間もないAIRでは、作家繋がりでも継続できることに感謝したい。尾形は、一般大学の経済学部を卒業してからガラスを学んで今日にいたるという経歴を持っている。初見の印象は、小柄な無口で物静かな文学少女を思わせる風貌である。
そんな尾形のワークショップ(以下WS)は、作品同様、1回目「ガラスに思い出を閉じ込めてみよう」。2回目「ガラスの中の世界を覗いてみよう」といった内容に決定した。WSとは、作家の作風、個性から内容を決定するのであるが、今回も実に「らしい…」ものになった。しかしながら、参加者は少数だったことが残念であるが、こればかりは他力本願。しっぽりと静かで淡々としたWSになったことも、尾形らしい……。
プログラム修了の成果としての作品は、手のひらに載るような小さなものが多く、実に尾形の外見からイメージされるままの繊細なオブジェ作品である。どれも、実に詩的で美しい。そんな作家の世界観を、こっそりと愛でていただきたい作品たちである。
1975 宮城県生まれ
1998 中央大学経済学部国際経済学科卒業
2002 東京ガラス工芸研究所基礎科卒業
展示会・入選歴
2002 第1回 現代ガラス大賞展・富士2002
2004 第4回 現代ガラスの美IN摩/第2回 現代ガラス展inおのだ
2005 SENSESOFINNER:JapaneseContemporaryGlass(USA出品)
2006 “NewGlassReview27”TheCorningMuseumofGlass(N.Y)
2006~08 「クラフトフェア松本」参加
2007 KatamariGlassFromJapan(ベルギー、アントワープ)参加/NationalLibertyMuseumGlassNowAuction招待出品
2008 個展「雨と残像」(galleriaACCa/東京)
2010 個展「invitoro―光の粒子―」(galleiaACCa/東京)